2013/11/09

メダリオン

貴族が狩猟の時に履くカントリーテイストの強い靴に仕込まれるメダリオン。

ここ日本において狩猟をする御仁はホント限られているんだろうけど、

そんな名残のような野趣あふれる雰囲気が魅力、

靴のトウキャップに見受けられることが多い装飾をメダリオンという。

もともとスコットランドあたりで湿った空気や泥水を革が発散しやすいようにと

たくさんの穴があけられたのが始まりと聞く。

それがいつしかイギリスあたりで装飾性もつことになったわけだ。











その多くは動物をモチーフにしたものが多く、

ふくろう、羊、象などの狩猟に関わる、

あるいは貴族の家紋的なものだと思われますが、

弊店でも8種類のバリエーションをご用意しております。












本日ご紹介のK様のリクエストはハート型のメダリオンをカッコよくとのこと。

いくつかのサンプルを作成しお選びいただいたわけだ。

いや~ハート型と聞くとどうも男の靴にどうなのよ?っと

ちょっとドン引きな感じもしておりましたが、

職人魂に火が付いたのか靴職人T氏、

カッコよく装飾されたハートマークを考案してくれたわけだ。











そんな感じで本日は靴の仕立て上がりのご紹介です。

落ち着きのあるブラウンのストライプスーツでご来店いただいたK様、

渋みが武器となるミドルエイジ、

ビジネスシーンではブラウンはご法度という御仁もいらっしゃるとは思いますが、

センスのよさでお洒落な印象を残すことに成功した着こなし。

きもちグレイッシュなブラウンならではの色気が漂っております。

もちろん弊店でお求めいただいた一着。

靴ももちろん弊店でのオーダー、アデレードタイプのクォーターブローグと

カントリーよりだが間違いなく都会的で重宝な靴、

2005年にオーダーいただいた靴ですが現役、

大事に手入れして履いていただいている、これが本格靴の醍醐味でしょうか。

















そんな流れで試履きいただき、

シュッと空気の入れ替わる音と共に完璧なフィッティング、

トウの程よい余裕とボールジョイントのフィット、

トップラインもくるぶしに食い込まずとほぼ完璧、

これから5年、10年と大事に育ててください。





おまけ: 本日の仕立て上がり~靴編。






K様  LAST 2091 アノネイ社 ベガノカーフ


アッパーのデザインを進化させストラップに主張を持たせた

小粋なサイドモンクストラップシューズの出来上がり。

ほんのりとロングノーズなラストと

アンティークな仕上げが楽しいベガノカーフとの組み合わせ。

これから先の経年変化が楽しみな一足。

つま先のK様オリジナルメダリオンも品よくのっかり

世の中で唯一一足だけのオリジナルモンクの完成です。

お待たせしました。














 T様  オリジナルローファー  カーフスウェード


パーティの衣装と合わせてオーダーいただいたパープルのローファー。

昔からの大定番とはいえ色気のある出来上がり。

ローファー、スリッポンの要はフィット感につきるんだけど、

比較的かかとがコンパクトに作られた弊店のラストなら

かかとがスポスポと抜けることはないかと思われます。

とりあえず、トータルでコーディネイトしたんだけど、

どうもこれ一足だけでも上品カジュアル、

マッケイ製法の軽快な出来上がりでございます。

お待たせしました。













M様  LAST 3001 イルチア社 ジャスパー


こちらも最後の一足、イルチア社のガラスのような光沢が売りのジャスパー。

ネイビーのダブルモンクストラップ、その高い装飾性から最注目靴かもしれない。

きもちロングなチゼルトウの流麗なフォルムは色気を強調、

細部に至るまで大人の男靴、いや~美し過ぎる一足。

お待たせしました。

















東京のO様  LAST 2021 アノネイ社 ボカルーカーフ


シャープな印象のブローグ靴の出来上がりです、優雅ですよね。

ショートなウイングが利いた寛いだ感じのドレスシューズといえよう。

ライニングのブルーとアッパーのバーガンディの合わせも

色気が漂う貴族的な一足。

兎にも角にもこのウイング状のトウキャップが命、

けっこう攻めてる意匠に注目ななブローグでございます。

さっそく送りますです。














S様  LAST 2071 アノネイ社 レノカーフ


アノネイ社のマットな黒でサイドゴアブーツと

これまた野趣あふれる貴族的なブーツの出来上がり。

とはいえカントリーなイメージは全くございません。

街に溶け込むっていうか、間違いなくスーツに合わせる気満々の一足でしょうか。

ライニングのオレンジもある意味英国調、

ノーブルでいて気品があり、タフでいて唯一無二、

褒めすぎってことはないかと思われる出来上がり。

つま先とかかと、ばっちり鏡面仕上げ仕込んでおきました。

お待たせしました。













以上、本日の仕立て上がり~靴編!

いつもご愛顧いただき誠にありがとうございます。





おまけのおまけ: メダリオン対決!

シンプルな靴もいいんだけど、ブローグ靴の野趣あふれる感じは大好物のK玉です。



サキソニーの千鳥格子のスーツにサイドエラステックシューズ。

つま先のメダリオンはきもちロングノーズなラストに似合うシンプルな羊さんです。








似たようなスーツ、サキソニーのグレンチェックスーツに茶のフルブローグ。

つま先のメダリオンは象さん、オーセンティックなラウンドトウに似合うかと思われます。