2011/12/30

年末年始の営業のお知らせ






2月31日 1月1日 1月2日店休日とさせていただきます。

新年の営業は1月3日12:00より開始いたします。



街並みも新年を迎えるお目出度いムードに一変し、今年も残すところ僅かとなりましたが

皆さんいかがお過ごしでしょうか?

今年一年の漢字は 「絆」 

未曾有の大震災により家族や友といった身近でかけがえのない人に対する絆を

改めて感じたり、チームワークと信頼で優勝したなでしこジャパンの姿に感動したり、

勇気を持ったりと多くの日本人が絆の大切さを改めて感じた一年でしたと

選考理由が書かれていた。

← これは誰もが認めるところだよな。










K玉的にはどうだろう?絆の大事さも痛感はしたんだけど。。。

気になる言葉としては、プライオリティーかな。

The order of priority.

優先順位って、出来ているからではなく、出来ていなくて気になった言葉。

K玉自身もやけど、お国もやね、お国は大問題やね。








そんな感じで、暗い話よりも底抜けに明るく前を向いていく方が望ましいわけで、

今年一年お世話になりました。

来年もよろしくお願いいたします。












福岡にご帰省のお客様、皆様方、福岡から故郷に戻るお客様、皆様方、

お気をつけてお帰りください。








それでは、皆様よい年をお迎えください。















2011/12/29

ジェントリーオーダーベスト 3

年末も押し迫り今年一年を振り返っての弊店オーダーベスト3を

正確に集計したわけじゃないんだけど、弊店スタッフ、お客様のご意見も参考に

統計学的にも間違ってないと思われるコレが売れた的な2011年のジェントリーベスト3

発表したいと思うK玉ですが皆さんいかがお過ごしでしょうか?

← 今年もこの季節がやってまいりました。

← とはいえ、ジェントリーベスト3は第一回目でございます。(笑)





2011年を振り返ってオーダーのナンバー3を捏造ではなくほぼ正確に発表しようと

思ってはいるんだけど、金額なのか、数なのか、判断するのが微妙なんだけど、

とりあえず、やっちゃいます。(苦笑)




結果からいうと、普通っていうか当然の結果でありました。

皆さん、まずは「紺ジャケ」を一着って感じで定番上手が着こなし上手なわけだ。

兎にも角にも、サイズが大事であります。

今年はジャケット文化が花開き、スーツよりも楽しいっていうか、より冒険したお洒落が

できるジャケットの定番、ネイビージャケットがオーダーのベスト3に入りました。












単純にネイビージャケットで一括りしたんで圧倒的な勝利でありました。

バルベラ、ロロピアーナ、ゼニア、カノニコ、フィンテス、オルメザーノ、エドウィンウッドハウス、

ドーメル、グアベロ、イートーマス、テイラー&ロッヂ、ハリソンズ、マーティンソン、カチョッポリ、

ユーロテックス、サヴィルクリフォード、ドラッパーズ、スキャバル、チェルッティー1881。。。

思いつく限りのミルやマーチャントを書いてみたんだけど、すべてのメーカーのネイビー生地を

使わせていただいたのは間違いないところだ。












お次は数で圧勝だった白、ブルー共に「ミニへリンボーン(シャドーへリンボーン)の

スプレッドカラーシャツ」でございました。

紳士服の各アイテムの中でも、大事なんだけど消耗品的な思いを抱かれるドレスシャツ。

弊店では最高のコストパフォーマンスでカリビアンコットンの100/2×100/2の白、ブルー

スプレッドカラーシャツが、ツヤと丈夫さを併せ持つこのシャツ生地がベスト3に潜り込みました。

高級イタリアシャツに負けないクオリティー、仕立て、生地、どれをとっても引けをとらない

弊店ならではの真骨頂でございます。













計算されたフィット感、スリム過ぎず程よく体を包む感じは既製品ではもはや無理であります。

テーラリングを意識した立体的なドレスシャツはスーツやジャケットの動きに同調し

けっして邪魔をしない。

特に襟元の立体感はハンドメイドを思わせる表情である、と思っております。

ジャケット人気で小襟のBDや弊店ではカッタウェーカラーが夏場大人気では

ありましたが、一年通すとやはり弊店のオーダーの八割にあたるスプレッドカラー、強しです。

柄物のジャケットも例年以上にオーダーいただいたことと、やはり基本のスーツに合わせる

白、ブルー無地のドレスシャツ、ヘビーローテーションで頑張っていただく一枚です。







ラスト、ベスト3はこれ「ダブルモンクストラップシューズ」


ラスト自体の人気は2091が一番人気で気持ちロングノーズでややポインテッドなラウンドトゥ

時代の気分を象徴してたようです。

2011年、雑誌等を騒がせたのはぽってり木型のウイングチップやチャーチのシャンガイ(上海)

といった細身のパンツに合わせるための安定感のあるボリューミーな靴が多かったんだけど、

カジュアルではよくても、ビジネスシーンではちょっとと弊店のお客様もK玉も

そんな感想なんだけど。。。

そんな中で弊店では普通にストレートチップと肩を並べるオーダーが入ったのが

ダブルモンクでございました。

シングルモンクに比べて気品の点では気持ちやんちゃといいますか、押し出しの強さは

ございますが、そこのちょっとした匙加減が心地よいのでありましょう。

ジャケット人気の2011年にオックスフォードでは重すぎてローファーよりもエレガントな

モンクストラップ、特に弊店ではダブルモンクが異様に人気で、今の時代にマッチした

靴のデザインと言えるのでしょう。







LAST 2071と3001












この一年を振り返ってみると、弊店では何も変わってないんだけど、

時代が 「カントリー・ジェントルマン」 という英国紳士たちの伝統的ライフスタイルに

注目しているのがわかるわけだ。

カントリージェントルマンっいうキーワードは今後も追い続けていくんだけど、

弊店、あくまで仕事の愛着のある道具としての装いを売りとしているんで、

ジェントリーベスト3にはこのキーワードは当てはまらないんだけど、

ジャケット文化が花咲く読みは完璧にあたりでございました。




時代を超越したスタイルを現代版にアレンジしてのご提案、今後も送り届けたいと

ジェントリーコンプレックスの着こなしの流儀にご注目ください。





おまけ: K玉年末顔だし&ご帰省お客様&

ご近所のバルミュゼットチーム~年末のご挨拶です。(笑)


今年オーダーしたバルベラエルボーパッチ搭載の大柄チェックのジャケット~

シルバーグレーのスプレッドカラーシャツにカシミアの無地ネクタイ~

足元はネイビースウェードのフルブローグと今年のすべてをぶつけてみた。(笑)

どうも写真ではソックスの色、微妙に外しているようで、

やはり最後もホシ二つでございます。☆☆










山口からのご来店、I見様~今年はBULMER&LUMBキャバリーツイル

スーツをご注文いただきました。いつもありがとうございます。

一見、ドヤ顔ではありますが、笑顔は最高!!!

スーツも貫禄の着こなしで、コートに至っては映画から抜け出したようなよれ具合、

いい雰囲気であります。よい年をお迎えください。








県境からご来店はS渡さん、いろいろと小物、ご購入いただきました。

中に着込んだジャケットは今年オーダーいただいたグレーベージュなウインドペンの一着。

チェスターコートは昨年お求めいただいたダブルフェイスのハウンドトゥースです。

カーゴは兄弟店CADETTOでお求めいただいたヤツ~決まってます!!

このさり気なさが肝なんだよな。

いつもありがとうございます。よい年をお迎えください。









ラストはご近所、バルミュゼットのスタッフさんご一同です。

年末のご挨拶にご来店いただきました。

ボスのT淵さんにはジャケットをオーダーいただきました。

ありがとうございます。

来年もよろしくお願いいたします。







本年もご愛顧いただき誠にありがとうございました。

来年もよろしくお願いいたします。

よい年をお迎えください。

2011/12/27

野心VS礼節

久しぶりに本をしっかりと読んだ。っていうか、一気に読んだ。

十二月のとある日、十年以上お付き合いのあるお客様から

おずおずと手渡された、一冊の本。

題名や帯を拝見させていただき、仕事柄興味を間違いなく持つと思われてのお客様の

差し入れっていうか、ご好意に感謝でございます。

しかしながら、裏を返せば、知識教養に乏しいK玉のブログネタとして提供されたと

理解したほうが解りやすいよなな今日この頃、皆さんいかがお過ごしでしょうか?

← けっこうなプレッシャーをさらりとかけてくる○ロギさんでした。(汗)







とりあえず、帰りの高速バスの中で、その本を取り出しパラパラとめくってみる。

もちろん題名からして、惹かれないわけもなく、

「シューメーカーの足音」  本城雅人 とあり、

ビスポークらしき靴とラストが表裏表紙にあり、帯には 野心VS礼節 とある。



キーワードに「英国王室御用達」なんて言葉もあり、

ストーリーに興味がないわけじゃないんだけど、K玉的にはどこまで作者が

ビスポーク靴の世界を理解しているのか、紳士靴(服)業界のことを把握してるのかと

ちょっと意地悪な目で読み始めたわけだ。







そこには綿密な取材に裏打ちされたリアリティーがあった。

注文靴に少しは縁のあるK玉でも、全く縁のない方でも、ロンドンの工房を訪れた

気分にさせてくれる。

作者の本城氏は真摯にビスポーク靴に敬意を表して取り組んだことがわかる。

いくつか引用してみよう。

K玉的にっていうよりも、靴やアパレル業界なりに携わってなくても解るフレーズが

各所に散りばめられている。



「その時、私は靴を作る上でとても大事なことに気づいたんですよ。ああ「快適さ」(カンフオタブル)


と「痛み」(ペイン)というのは紙一重なんだって。」 とあり、

「サイズの緩い靴というのは「痛み」を感じることはありませんが、「快適さ」を感じることも


一生ないということです。」  とある。



まさに紙一重の話なんだな。

昔々、緩い靴を履いていた若い自分がいた。

足のサイズが小さいことがそれなりのコンプレックスなK玉としては、オーバーサイズで

誤魔化して、インソール(中敷)で補っていたこともありましたです。(苦笑)

← 自身のラストを作ってからはジャストフィットな靴しか履いておりませんです。




また、こんなフレーズも。

「大事な仕事に行き詰まったらまず靴を磨くべきだ。そうすれば心の迷いが吹っ切れ


曇った鏡から湯気が取れるように困難が取り除かれていく。。。」



これはK玉自身、身をもって体現したことが何度もある。

靴でなくとも身の回りの片付けをするだけでリセットできるのは間違いのないところであろう。



「ムカデじゃないんだからいったい何足買ったら気が済むのよ」。。。



これに近いことはもちろん言われたことがある。

ただただ苦笑いですよね。。。

収納スペースさえ確保できれば解消する問題のようにも思うです。

K玉家では下駄箱に収まらない靴は箱に入れて部屋に積んでる状態で、

収納スペースが欲しい限りでございます。(涙)



最後に、サスペンス的な決め台詞として結から引用してみよう。

「靴作りに求められる職人の野心と礼節。この矛盾する二つを併せ持つことが出来て、


初めて客は、その職人に自分だけの一足を作って欲しいと思うのです。」 

と、締めくくられている。



名を馳せるためならば手段を問わない野心と


他者の笑顔のために我欲を捨て去る礼節。



「礼節というのは、うわべだけではなく、心の奥の方で積み重ねていくものだからです。


環境ではなく精神の問題です。」 と答えている。


随分難しいことをいう。

二人の主人公(靴職人)がいて、方や野心が足りなく、もう一人は礼節が欠けている。

そして結末を迎えるんだけど。。。

とりあえず、このミステリーは思いのほか爽やかな読後感で

それぞれがまた靴の世界で新たな一歩を踏み出すエピローグで

ちょっと助かったっていうか、K玉自身の仕事と重なる部分が多く、胸の痛い感じが

エピローグで救われた、それなりに内容の充実した作品でした。




おまけ: 本日の仕立て上がり~当然、靴編!



K様  LAST 2091 ホールカット 

つま先にふくろうのパーホレーションをあしらったホールカット。

ライニングも黒、総カラスと黒尽くめのオーダーです。

一枚の革で仕上げるため、職人により高度な技術が求められるヤツです。

長年温めてきたイメージを今回、初オーダー頂きました。

K様、お待たせいたしました。