先日もっていうか、割りとしょっちゅうのことなんで慣れたけど、
待ち合わせた仲間内から、「さあさあ上着を脱いで楽にして!」って言われ、
コップを渡されビールを注がれるわけだ。
駆けつけ一杯ってことですよね。
「いやいや気にしないで、ちょっと寒いんだ。」なんて適当に返事を返し、
ビールはちゃっかり注いでもらうわけだ。
そんな感じで余程のことがない限り上着は脱がないようにしているK玉ですが、
皆さんいかがお過ごしでしょうか?
無闇に上着を脱がないことにはK玉的には一応意味がある。
洋服=西洋の文化そのものであることはどなたも異議はないと思うんだけれど、
その洋服に関する約束事のようなものを学ぶことで、
仕事に洋服を選んでからは、特にスーツの着こなしの奥義を探るべく、
スーツ発祥の地、イギリスでの掟に従うのが近道ばかりと、
スーツとは何か?シャツの選び方、ネクタイの合わせ方と学習してきたわけだ。
若い時分のK玉なんかは、全てはアメリカから学んだもんだから、
そこには機能性はあってもダンディズムなる本質は感じ取れなかったし、
そもそも若気の至りで、見た目だけ、ブランドだけのポパイ少年だったわけだ。
← モノの本によると、スーツの発祥はイギリス、大衆化はアメリカ、
それを小粋に洗練させたのがイタリアということです。
そんなこんなで少しは学習し成長したK玉も、
18~19世紀頃まではシャツは下着と考えられていたと知り、
それらしい映画や小説での主人公が自宅、もしくはホテルの部屋以外では
滅多に上着を脱がないシーンなんかをみたり読んだりすると、
煙がもうもうの焼肉屋なんかは致し方ないんだけど、
出来る限り、上着は脱がない、ネクタイは緩めないようにしている。
どなたにも強制もしないし、そうすべきだと言ったこともないけど、
自身の決まりごととして出来るだけ頑なに守っているわけだ。
← 今日でも特に女性の前で上着を脱ぐことは非礼とされていると聞く。
← 昔の名残が脈々とですよね。
暑いから、楽だからとなんの違和感もなく上着を脱ぐことに抵抗のない日本人は、
西洋文化のかたちだけを輸入して、その掟や作法は受け入れてないわけだ。
ダンディズムなんて言葉がもてはやされている今日この頃、
長い歴史のある西洋文化=洋服のお勉強をちょこっとするだけで、
身にまとう時にほんの少しは気持ちが引き締まるK玉でした。
おまけ: 本日も仕立て上がり。
E様 CANONICO <Italy> S110’S
2釦のシンプルなスーツ、いわゆる冠婚葬祭用のブラックスーツ。
弊店オリジナルバンチよりお選びいただいた一着。
カラーの裏側に台形状のヒゲ、上襟を伸ばすことが出来、サイズ調整が効く。
チーループ、ラペルの裏側、フラワーホールの下につき挿した切り花を留めるループ。
八刺し、八の字に見える芯を身頃や襟にすえるための斜めしつけ。
本格スーツの基本ディテールが襟、ラペル裏だけでもいくつもある。
細部にもスーツの醍醐味、満載でございます。
お待たせしました。
M様 LORO・PIANA <Italy> S120’S
1936年創業のロロ、高級生地の代名詞、弊店でもお馴染みのミル。
こちらもオリジナルバンチよりお選びいただいた。
ミディアムグレーの霜降りなオルタネイトストライプ、渋いっす。
淡いラベンダーやブラウンのロンストシャツなんか良さげな感じでしょうか。
軽やかな一枚芯ながら威厳を感じる仕立て上がりです。
お待たせしました。
M様 REDA <Italy> Wool100%
チャコールグレーのウインドペン、ミニマム合わせでブルーシャツでキマリでしょうか。
ウインドペンのブルーを拾わない手はないよな。
ブルーシャツにネイビーのソリッドタイでトーンコーデ、
ビビッドにボルドー、パープルのタイと使い分けるのがよしです。
シックな印象のスーツ、控えめながらも旬な仕立て上がりでございます。
お待たせしました。
S様 DOMESTIC Wool100%
国産生地ながら打ち込みのしっかりとしたインクブルー無地。
夏以外のシーズンは着用できるヘビーローテーション。
軽快な一枚芯ながら顔つきは雄雄しくもスマートな仕立て上がり。
就活に励む一着だそうです、間違いない。
お待たせしました。
以上、本日の仕立て上がり。
いつもご愛顧いただき誠にありがとうございます。