「残ね~ん」
「勝負スーツ着てきました」
今日頑張ったら、明日は手が抜けるのですか。
「同じスーツ持ってます」
えっ、当店では初めて作ったモノです。色柄がお持ちのスーツと
似てるだけで、生地も形も縫製も違ってます。
買物の際、違いが分からなければ安い方をお求めになった方が
シアワセかと存じますが。
違いが分かる男になりたいものです。
「イタリアのおやじのスーツ姿って格好いいよね」
ならば良~く見て分析して真似してください。
合わせるシャツは白かブルーの無地か穏やかな柄物しか着てません。
普通のモノを普通に着ることができれば、誰でも格好よくなれます。
「足が短いから、パンツの股下長めにしといて」
長くてダブついていると、余計に短く見えますよ。
「きょうは、ソックスがポイント」
スーツになぜ白色のスポーツソックス。
マイケルジャクソンは特別です。
ハズシとハズレは紙一重です。
「おたくのスーツ、着やすくて細く見えるから、安心して太ってしまった」
私共の所為ですか。大変ご迷惑をお掛けしました。
「若い頃はウエスト73cmやった」
そうですか。今は85cm。では73cmのパンツはいてみますか?。
「できあがったら、裾に折り返しがありますが、このままはいていいですか?」
ダブルの裾上げ、初めてご覧になるのですか。
「今度のスーツ、釦はカドにしてください」
はいっ?! 水牛のツノ(角)、ホーンボタンですね。
月刊はかた5月号 「スーツのはなし」 笹川正章 より