ドッピオ・ペット。何のこっちゃ?
答えはダブルブレスト。
スーツ、ジャケット、コート等の両前のことである。
アパレルメーカーは、昨今の低調を何とか打開し、
需要を探るべくダブルの上衣を提案し始めて数年が経つが、
業界人を除いて未だ浸透していない。
弊店においても、数倍の注文を受けている計算になるが
モトの分母がゼロに近かったから数は察して知るべし。
服の歴史は、人々のライフスタイルと共にカジュアル化の歴史を辿っている。
フォーマルウェア然り、スーツ然り。スーツがカジュアル化するとどうなるか。
芯地を極力減らす。
綿や麻やストレッチ素材になる。
ノータイや合わせるシューズがカジュアルな物になり、コーディネートが軽くなる。
が、 手抜きとは違う。
趣味である着物を除き、勤務先の暗黙のドレスコードがあるから
何でも着るわけにはいかないのが正直なトコだろう。もし許される環境にあるのなら、
思い切ってシフトチェンジしてみてはいかがだろうか。
スーツにおけるカジュアル化を四苦八苦しながら実践するくらいなら
ジャケットにシフトと言う手もある。
仕事着として許される範囲は広くはないと思うが、
紺・茶・ベージュ・ブルー等のジャケットが幅広いコーディネイトを約束する。
なかでも最右翼と目されるのが、ダブルブレストのジャケットだ。
これもベイシックな紺から大胆なチェックまで、今年こそと提案花盛りである。
元来、重厚なイメージがあるダブルにこそちょっと抜けた合わせが効果的だ。
オンではセオリー通りのグレーのパンツを、
オフではジーンズや白の綿パンを。
ネクタイがなくてもだらしなくないのがジャケットの強み。
着る物なんか、かまっていられない。
色々とご意見もありましょうが、元気な人の服にパワーを感じるのは気のせいか、如何。
月刊 はかた 「スーツのはなし」 VOL・119 (弊社代表著) より