今までの自分と変わりたいような発言をされるお客様がいる。
単に新しくお気に入りのスーツが欲しいなんて感じではなく、心底生まれ変わりたい的な
すがるような感じなのだ。
今まで築き上げてきた自分をさらに高めるべくの、「男の着こなし」のアドバイスは
それが仕事との自負もあり、それなりの経験を踏まえた上でお手伝いさせてきたつもりだ。
← 基本的に紺のジャケットとチャコールグレーなりのダークスーツと手入れされた靴、
数枚のシャツと数本のネクタイがあれば、誰からも認められる着こなしは
手に入れられる、あるいは身に付くものだと思っているK玉ですが、
皆さんいかがお過ごしでしょうか?
白シャツ合わせの王道スタイル 語り継がれてきた着こなしです! |
ところが、今までの自分を捨てて生まれ変わりたいがの如く相談されても、それはちょっと困る。
確かに昔に比べて洋服の揃え方や着こなしを教えてくれるおじさんなり身近なヒトは
少ないかとは思われるんだけど。。。
多分おそらくそういうお客様は、ワードロープを築いてきてないんだろう。
すすめられた来年着れない流行モノ、ネイビーやグレーの基本もわからないまま、
いつもと違う色に手を出したり。。。
いっぺんにすべてを揃えられるヒトはほんと限られた一部のヒトだけだし、
普通我々洋服屋も含めて、正しくは最初にネイビーのジャケットを買い、
次にチャコールグレーのスーツを揃え、一生モノと思い込んだ革靴を履きこんでいくものであり、
そこには時折流行に手を出して失敗し、遠回りすることもあるんだけど、
それなりの順序で買い足し、揃えていくことで、スーツに着られることなく
「男の着こなし」を身に付けていき、スタイルが出来上がる。
← 粋の領域にはさらに長い道程がある。
基本中の基本~ パンチドキャップトゥオックスフォード! |
先ほどの生まれ変わりたいがの如くは困るんだけど、サイズを一瞬で把握し、
お好みなりをいち早く盗み取り、お客様にピッタリの商品や生地を出すことが出来ることを
この道に入って来てから心掛けてきたわけで、何なりと出来るアドバイスは致しますです。
まだまだな修行中のK玉ではありますが、
とりあえずは、一つの洋服箪笥があれば身に付けることの出来る「男の着こなし」。
流行に左右されないワードロープを築いていくことが大事な道程ですよね。
おまけ: 本日も仕立て上がり。
S様 BULMER & LUMB <England> CAVALRY TWILL 450g!
キャバリーとは調べると騎兵隊とある。
つまりは乗馬用のパンツに用いられた丈夫な生地と言える。
このヘビーウエイトの生地ならコートでもいける丈夫さです!
そこでS様、一枚芯の軽快な芯地で6釦ダブルブレステッド、2パッチポケットの上衣に、
パンツは脇美錠のベルトレスでスーツを仕立て、スーツでもジャケットでもいける
守備範囲の広いタフなヤツを狙い通りにオーダーされたわけだ。
さすがです~わかっとんしゃ~ね!な仕立て上がりでございます。
お待たせいたしました。
U様 LORO・PIANA <Italy> Wool 90% Ca 10% !
ネイビージャケットのインにとご注文いただいたベスト。
着方によってはネルシャツの上に羽織ったりとカジュアルにもこなせる便利な一品です。
淡いグリーンを感じるグレーのヘリンボーン。
いい雰囲気です。